【2026年最新】関東圏・診療科別年収の実態——令和6年統計で見る格差の構造

💡 この記事でわかること:① 令和6年最新統計による勤務医の平均年収 ② 公的調査にもとづく診療科別年収の傾向 ③ 「東京=高年収」とは限らない構造的理由 ④ 診療科以上に年収を左右する3要因

「自分の診療科は高収入なのか、低収入なのか」——転職を考え始めたとき、真っ先に気になるのが診療科別の年収水準です。しかし、ひとくちに「医師の平均年収」といっても、集計手法・副業の有無・勤務先規模によって数字は大きく変わります。

本稿では、厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」など公的な一次資料を主軸に据え、関東圏の診療科別年収の実態を読み解きます。転職活動で「数字を武器にする」ために必要な情報を、一次資料ベースでお伝えします。

令和6年調査が示す勤務医の年収実態——平均1,338万円の内側

厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、医師(常用労働者・全規模)の平均年収は1,338万円でした(きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額で算出)。

最新統計
1,338万円
出典: 厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」(2025年公表)

ただしこの数字は常用雇用・本業給与のみの平均です。オンコール手当の一部やアルバイト・スポット勤務の収入は含まれないため、副業が広く行われている医師の実態収入は、この統計値より高くなるケースが少なくありません。

「本業給与のみ」の統計と実態がずれる理由

賃金構造基本統計調査は事業所が支払う賃金を集計するため、関東圏の市中病院・クリニックで広く行われている外勤(アルバイト・スポット勤務)の収入は反映されません。特に大学病院勤務の場合、本業給与を抑えて外勤で補う給与慣行が長く続いてきました。

⚠️ 注意: 大学病院の給与明細には「本業給与」しか記載されません。実態収入を転職先と比較する際は、アルバイト収入を含む年収総額で比べてください。

診療科別年収の傾向——公的調査が示す上位科

診療科別の年収を全国規模で集計した公的調査としては、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(2012年)が現在も広く参照されています。

順位診療科平均年収高収入の主因
1位脳神経外科1,480万円緊急手術・夜間対応が多く手当が厚い
2位産科・婦人科1,466万円分娩対応の夜間手当が年収を押し上げ
3位外科1,374万円手術件数・当直頻度が高い

出典: 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(2012年)

💡 この調査は2012年実施とデータが古い点に留意してください。それ以降、診療科別の平均年収を全国規模で集計した同種の公的調査は公表されていませんが、「夜間・緊急対応が多い科ほど年収が高い」という構造は、後述の時間外上限規制(2024年〜)のもとでも基本的に変わっていません。

脳神経外科・産婦人科・外科に共通するのは、夜間・緊急対応の頻度の高さです。時間外手当・当直料が本給に上乗せされることで、他科を引き離す水準を維持しています。逆に言えば、同じ診療科でも当直・オンコールの多寡によって年収は大きく変わります。

💡 ポイント: 自由診療(美容外科・美容皮膚科)は求人票上の提示年収が突出するケースがありますが、雇用の安定性や専門性の維持など別のリスクがあります。転職先として検討する際は長期キャリアの観点も合わせて確認してください。

関東圏の年収マップ——「東京=高い」とは限らない

「都心で働けば年収が高い」というイメージを持つ先生は少なくありません。しかし、医師の労働市場では供給の豊富なエリアほど処遇が抑制されやすいという逆の力学が働きます。

エリア別の需給バランスと年収水準の関係

厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、東京都の医療施設従事医師数は全国最多です。医師の供給量が豊富なエリアでは、病院側が採用競争にさらされにくく、求人票の処遇が抑制されやすい傾向があります。

エリア需給の特徴年収水準の傾向
東京都・神奈川県医師供給量が全国トップクラス平均水準。高待遇求人は限定的
埼玉県・千葉県人口あたり医師数が少なく需要が拡大中都心より高処遇の求人が増加傾向
茨城県・栃木県・群馬県二次医療圏単位で医師不足が続く高単価の常勤求人が多く、年収アップ余地大

「関東圏への転職」を考える際、東京・神奈川だけでなく、北関東や埼玉・千葉郊外まで視野を広げることで、年収水準が大きく改善するケースが多くあります。

年収を左右する3つの要因——診療科よりも効くケースがある

同じ診療科・同じ関東エリアでも、以下の3要因によって年収は数百万円単位で変わります。

① 勤務先の規模(病床数)
賃金構造基本統計調査の企業規模別データでは、1,000人以上規模より中規模事業所のほうが医師の賃金水準が高い傾向が見られます。大学病院(大規模)は基本給が抑えられやすく、中規模の市中病院(200〜400床)が収入面で有利になるケースが多いのが実態です。

② 当直・オンコール体制
週1〜2回の当直は、年収換算で200〜400万円分に相当する施設も珍しくありません。2024年4月から適用された医師の時間外労働上限規制(A水準・B水準)により、当直体制の透明性は高まっています。転職時は当直回数と手当の単価を必ず確認してください。

③ 雇用形態(常勤 vs 非常勤)
非常勤・スポット勤務は時給換算では高単価ですが、退職金・社会保険・賞与がなく、長期では常勤の総合待遇を下回るケースが多い。特に40代以降は常勤ポジションのほうが生涯収入で有利になることが多くあります。

⚠️ 注意: B水準(年間1,860時間以内の例外上限)適用施設は当直回数が多く年収が高い一方、長期的な健康リスクを伴います。採用面接前に施設のA/B水準指定状況を確認することを強くお勧めします。

まとめ

  • 令和6年賃金構造基本統計調査で医師の平均年収は1,338万円(本業給与のみ・副業収入は含まず)
  • 診療科別ではJILPT調査(2012年)で脳神経外科(1,480万円)・産科婦人科(1,466万円)・外科(1,374万円)が上位。夜間・緊急対応の多さが主因
  • 東京都は医療施設従事医師数が全国最多(令和6年医師統計)で、供給豊富ゆえに処遇が抑制されやすい
  • 埼玉・千葉・北関東エリアに目を向けると関東圏内でも年収アップ余地が大きい
  • 診療科に加え、勤務先規模・当直体制・雇用形態が年収を大きく左右する
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